アスペルガー症候群は広汎性発達障害の一つであり、言語の障害はないのですが、自閉症の特徴的な症状である社会性・コミュニケーション・想像性などの障害があります。
高機能自閉症と同じように扱われることも増えてきました。
アスペルガー症候群の人に、統合失調症と誤診されることもあるようです。
アスペルガー症候群と統合失調症のどんなところが似ているのでしょうか。
統合失調症は、2002年まで精神分裂病と呼ばれていた脳の病気です。
100人に1人くらいの割合で発症する珍しくない病気です。
かつては不治の病とされていましたが、薬物の開発により、症状を改善できるようになっています。
統合失調症は急に発症することもあれば、数日かかって発症する場合もあります。
何年もかかって徐々に症状が現れてくる場合もあります。
症状の程度は人それぞれですが、ほとんどが日常生活に支障をきたすようになります。
妄想は間違った思い込みのことであり、他の人が誤りを説明したり説得したりしても、認めることはありません。
統合失調症の妄想は被害妄想が多く、盗聴されている・狙われていると思い込んでしまったりします。
他に妻が浮気している・自分が人を殺してしまったなどの妄想もあります。
幻覚には幻視・幻聴・幻味・幻触・幻嗅・体感幻覚などがありますが、五感で実際にないものを知覚してしまうが幻覚です。
みんなが悪口を言っているのが聞こえる(幻聴)、腐った肉の味や青酸カリの味がする(幻味)、誰かになでられる・肌の上を虫が這う(幻触)、食べ物から毒の臭いがする(幻嗅)、骨が崩れる・脳みそが溶けていくと感じる(体感幻覚)などがあります。
何を言いたいのかわかりにくく、支離滅裂なことを言ったりします。
意欲の低下・体力の低下・会話をしなくなる・引きこもってしまう・感情の動きがなくなってくる・表情に乏しくなるなどの症状が慢性的に見られるようになります。
統合失調症の原因はまだわかっていませんが、脳機能の障害や神経伝達物質であるドーパミンの過剰などが原因であると考えられています。
発達障害の診断はとても難しいとされていますが、精神疾患と誤診される可能性があるという報道もあります。
アスペルガー症候群はもっとも統合失調症と誤診を受ける可能性が高く、実際に診断されたケースもあるようです。
アスペルガー症候群は先天性なのに対し、統合失調症は後天性の病気です。症状・予後も違います。
アスペルガー症候群には統合失調症の特徴的な症状である幻覚症状はありませんが、アスペルガーの感覚異常や感覚過敏の症状が幻覚症状と間違えられることもあるようです。
また、法律上ではアスペルガー症候群を診断されると発達障害と定義されますが、統合失調症と診断されると精神疾患として定義されます。