
生活保護の障害者加算は、障害のある方が生活保護を受給する際に、基本的な生活費に上乗せして支給される制度です。
精神障害者保健福祉手帳2級をお持ちの方であれば、月額約17,000円から27,000円が追加で支給されます。
この記事では、障害者加算の具体的な金額、対象となる条件、申請方法について詳しく解説します。
「自分はいくらもらえるのか?」
「本当に対象になるのか?」
といった不安を抱えている方に向けて、実際の手続きの流れまで具体的にお伝えしていきます。
生活保護の障害者加算とは?いくらもらえるのか?

障害者加算とは、障害のある生活保護受給者に対して、通常の生活扶助費に追加して支給される制度です。
この制度により、障害に起因する特別な生活上の負担を補うことができます。
加算額は障害の等級や種類、お住まいの地域によって異なります。
ですが、精神障害者保健福祉手帳2級をお持ちの方なら月額17,000円から27,000円程度が目安となります。
出典:厚生労働省「被保護者調査 令和5年度確定値」
生活保護の障害者加算の基本的な仕組みと目的
生活保護の障害者加算は、障害のある方の生活を支えるために設けられた制度です。
日常生活において、障害のない方と比べて追加的な支出が必要になることを考慮して設計されています。
具体的には、通院費や服薬、障害特性に合わせた生活用品の購入など、障害に関連する出費が継続的に発生します。
障害者加算はこうした経済的負担を軽減し、最低限度の文化的な生活を保障することを目的としています。
加算は生活扶助費とは別枠で支給されるため、基本的な生活費に上乗せされる形になります。
この制度を活用することで、より安定した生活基盤を築くことができます。
等級別・障害種別の加算額一覧表(精神・身体・知的)
障害者加算の金額は、障害の等級と居住地域によって決まります。
生活保護制度上の「障害者加算の等級」と「手帳の等級」は対応関係が決まっています。
- 1級:26,810円(1級地-1)/ 17,870円(3級地-2)
- 2級:17,870円(1級地-1)/ 11,920円(3級地-2)
- 3級:基本的に加算対象外(ただし、日常生活に著しい制限がある場合は個別判定)
- 1級・2級:26,810円(1級地-1)/ 17,870円(3級地-2)
- 3級の一部:17,870円(1級地-1)/ 11,920円(3級地-2)
※金額は令和5年度の基準です。
1級地-1は東京23区などの大都市部、3級地-2は地方の町村部を指します。
精神障害者手帳2級の方は、身体障害者手帳の3級相当(生活保護上の障害者加算2級)の金額が適用される点がポイントです。
生活保護費の総額シミュレーション(30代単身・東京23区の例)
30代で精神障害者手帳2級を持ち、東京23区で一人暮らしをする場合の生活保護費を試算してみます。
実際に受け取れる金額のイメージを持つことで、生活設計が立てやすくなります。
- 生活扶助基準額:約76,800円(年齢や季節により微増減あり)
- 障害者加算:17,870円
- 住宅扶助:最大53,700円(実際の家賃に応じて支給)
- 合計:約148,370円
この他に、医療費は「医療扶助」として全額公費負担となります。
精神科の通院や服薬にかかる費用も自己負担なしで受けられるため、国民健康保険や自立支援医療の自己負担分(通常1割〜3割)が浮くことを考えると、実質的な手取りメリットは大きくなります。
冬季(11月〜3月)には暖房費として「冬季加算(月額2,000円〜3,000円程度)」も支給されるため、季節によって総額は変動します。
障害者加算と他の加算制度の併用について
障害者加算は、他の加算制度と併用することができます。
複数の加算を受けることで、より手厚い支援を受けられる可能性があります。
併用可能な主な加算制度は以下の通りです。
妊娠中の方は妊産婦加算、
お子さんがいる場合は児童養育加算、
母子家庭の場合は母子加算
が適用されます。
また、冬季(11月から3月頃)には冬季加算として暖房費相当額が支給されます。
これらの加算は条件を満たせば自動的に適用されるわけではなく、福祉事務所への申告が必要な場合もあるため注意が必要です。
障害者加算と他の加算を組み合わせることで、個々の生活状況に応じた適切な支援額が決定されます。
生活保護の障害者加算がもらえる条件と対象者

生活保護の障害者加算を受けるためには、原則として障害者手帳を所持していることが必要です。
精神障害者保健福祉手帳2級をお持ちの方は、基本的に障害者加算の対象となります。
ただし、手帳の等級や障害の種類によって対象となるかどうかが変わってくるため、詳細な条件を確認しておくことが重要です。
精神障害者手帳2級・3級の場合の加算対象基準
精神障害者保健福祉手帳2級の方は、障害者加算の対象となります。
2級は「日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」と定義されており、うつ病や統合失調症、双極性障害などで2級認定を受けている方が該当します。
一方、精神障害者手帳3級の場合は、原則として障害者加算の対象外となります。
3級は「日常生活または社会生活が制限を受ける程度」とされ、加算の基準となる「著しい制限」には該当しないと判断されるためです。
ただし、3級であっても実際の生活状況によっては例外的に認定される可能性もあります。
福祉事務所での面接調査時に、具体的な日常生活の困難さを詳しく伝えることが大切です。
身体障害者手帳2級・3級の場合の加算対象基準
身体障害者手帳をお持ちの方の場合、1級または2級であれば障害者加算の対象となります。
視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害など、障害の種類を問わず等級によって判定されます。
身体障害者手帳3級の場合は、精神障害者手帳3級と同様に、原則として加算の対象外です。
しかし、複数の障害を併せ持つ場合や、日常生活動作(ADL)に著しい支障がある場合には、個別に審査が行われることがあります。
例えば、3級の肢体不自由があり、さらに別の身体機能の低下がある場合などは、総合的な生活能力を評価して判定されます。
手帳の等級だけでなく、実際の生活状況が重視される点を理解しておいてください。
「生活保護障害者加算がもらえない」ケースと理由
障害者手帳を持っていても、障害者加算が認定されないケースがあります。
最も多いのは、手帳の等級が3級以下の場合です。
その他の認定されないケースとして、以下のような状況が挙げられます。
手帳の有効期限が切れている場合は、更新手続きが完了するまで加算は停止されます。
また、施設入所や入院により、障害に起因する特別な生活費が不要と判断される場合も加算対象外となります。
さらに、申請時に手帳のコピーを提出しなかった場合や、障害の状態に関する調査に協力しなかった場合も、審査が進まず認定されません。
こうした事態を避けるためには、必要書類を漏れなく準備し、福祉事務所の指示に従って手続きを進めることが重要です。
障害者手帳を持っていない場合の対応方法
現在障害者手帳を持っていなくても、生活保護の申請自体は可能です。
生活保護と障害者手帳の申請は別々の制度であり、同時に進めることができます。
手帳がない状態で生活保護を申請した場合、まずは障害者加算なしの基本的な保護費が支給されます。
その後、医療機関を受診して診断書を取得し、手帳の申請を行ってください。
手帳が交付されれば、その時点から障害者加算が適用されます。
さかのぼっての支給はありませんが、交付月から加算が開始されます。
精神障害者手帳の申請には、初診日から6ヶ月以上経過していることが条件となることに注意してください。
福祉事務所のケースワーカーに相談すれば、手帳申請の手続きについてもサポートを受けられます。
生活保護障害者加算の申請方法と必要書類

成果保護障害者加算を受けるためには、福祉事務所での申請手続きが必要です。
生活保護の新規申請と同時に障害者加算も申請する場合
と
すでに生活保護を受給中の方が追加で申請する場合
では手続きが若干異なります。
ですが、基本的な流れは共通しています。必要書類を事前に準備しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。
生活困窮者支援を行う認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいでは、年間約1,000件の生活相談に対応し、生活保護申請の同行支援も実施しています。
こうした支援団体の力を借りることで、申請手続きをスムーズに進められます。
福祉事務所への相談予約から申請までの5ステップ
障害者加算の申請は、以下の5つのステップで進めます。
順を追って手続きを進めることで、確実に申請を完了させることができます。
-
ステップ①福祉事務所への相談予約
お住まいの地域を管轄する福祉事務所に電話で相談の予約を入れます。
「生活保護の相談をしたい」と伝えれば、相談日時を調整してもらえます。 -
ステップ②初回相談・面接
福祉事務所で現在の生活状況や収入、資産、障害の状態などについて聞き取りが行われます。
この時点で障害者手帳を持参し、障害者加算を受けたい旨を伝えてください。 -
ステップ③申請書類の提出
生活保護申請書に必要事項を記入し、障害者手帳のコピーなど必要書類を添えて提出します。
書類の書き方はケースワーカーが説明してくれます。 -
ステップ④家庭訪問・実地調査
後日、ケースワーカーが自宅を訪問し、生活状況を確認します。
居住環境や障害による生活上の困難について具体的に伝える機会です。 -
ステップ⑤決定通知の受領
審査の結果、保護決定通知書が届きます。
障害者加算が認定されれば、加算を含めた金額が支給開始日から振り込まれます。
申請時に必要な書類チェックリスト
障害者加算を含む生活保護の申請には、複数の書類が必要です。
事前に準備しておくことで、申請手続きをスムーズに進められます。
- 障害者手帳のコピー(精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳など)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など)
- 預貯金通帳のコピー(全ての金融機関の口座が対象)
- 賃貸契約書のコピー(住宅扶助の算定に必要)
- 収入を証明する書類(給与明細、年金通知書など)
その他、生命保険の証券、自動車の所有を証明する書類、土地・建物の登記簿謄本なども必要に応じて求められます。
資産を隠していると後で発覚した場合、保護費の返還を求められるため、正直に申告することが重要です。
手元に書類がない場合でも、福祉事務所が代わりに調査してくれるケースもあるため、まずは相談してください。
手帳取得後に福祉事務所への報告を忘れてしまい、数ヶ月間加算を受け損ねるケースがあります。
障害者加算は遡及適用されないため、手帳交付後は速やかに手帳のコピーを提出してください。
報告が遅れた月分は後から受け取ることができません。
審査で確認される項目と所要期間
生活保護の申請後、福祉事務所は様々な調査を行って保護の要否を判定します。
障害者加算についても、手帳の等級や障害の状態が審査されます。
審査で確認される主な項目は、
資産状況(預貯金、不動産、自動車など)、
収入状況(給与、年金、仕送りなど)、
扶養義務者の有無(親族による援助の可能性)、
障害の程度と日常生活能力
です。
これらの調査には、金融機関への照会や親族への連絡なども含まれます。
審査期間は通常2週間から1ヶ月程度かかります。
ですが、申請から14日以内に決定するのが原則とされています。
急を要する場合は、その旨を担当ケースワーカーに伝えることで、優先的に処理してもらえる可能性があります。
すでに生活保護を受給中の方の追加申請方法
現在生活保護を受給中で、新たに障害者手帳を取得した方は、追加で障害者加算を申請できます。
手帳取得後、速やかに担当のケースワーカーに連絡してください。
追加申請の手続きは比較的シンプルです。
障害者手帳のコピーを福祉事務所に提出し、加算申請の意思を伝えるだけで手続きが開始されます。
新たな家庭訪問や詳細な調査は通常不要ですが、障害の状態について簡単な聞き取りが行われることがあります。
障害者手帳の交付月から加算が適用されるため、手帳を受け取ったらすぐに申請することをお勧めします。
既に生活保護を受けている方は、ケースワーカーとの信頼関係を活かして、わからないことは遠慮なく質問してください。
よくある質問と不安解消Q&A

生活保護の申請を検討している方からは、様々な不安や疑問の声が寄せられます。
「貯金が少しあるけれど申請できるのか」
「家族に知られたくない」
といった心配は、多くの方が抱える共通の悩みです。
ここでは、実際によくある質問に答えながら、申請への心理的ハードルを下げる情報をお伝えします。
「貯金が少しある」「家族に知られたくない」場合の対処法
貯金が少し残っている状態でも、生活保護の申請は可能です。
生活保護制度では、単身世帯の場合、預貯金が最低生活費の半月分(約10万円程度)以下であれば保護の対象となります。
貯金が基準額を超えている場合は、まずその貯金で生活し、残高が基準以下になった時点で申請する流れになります。
ただし、病気の治療費などで急激に資産が減少する見込みがある場合は、その事情を説明することで早期に保護が開始されることもあります。
家族への連絡については、福祉事務所は扶養照会として親族に連絡を取る可能性があります。
ですが、DVや虐待の経歴がある場合、長年連絡を取っていない場合などは照会を省略できます。
「家族に知られたくない」という事情がある方は、初回相談時に必ずその旨を伝えてください。
生活保護障害者加算が認定されなかった時の異議申立て方法
生活保護障害者加算の申請が却下された場合、不服申立ての制度を利用できます。
決定に納得がいかない場合は、諦めずに異議を唱える権利があります。
不服申立ては、決定通知を受け取った日の翌日から3ヶ月以内に、都道府県知事に対して審査請求を行います。
申立て書には、却下された理由に対する反論や、日常生活での具体的な困難さを詳細に記載してください。
医師の診断書や日常生活の状況を示す資料を添付することで、審査が有利に進む可能性が高まります。
また、弁護士や社会福祉士などの専門家に相談することも有効です。法テラスを利用すれば、無料で法律相談を受けられる場合があります。
症状が改善して働けるようになったらどうなるのか
生活保護を受給中に症状が改善し、働けるようになった場合でも、すぐに保護が打ち切られるわけではありません。
むしろ、就労による自立は制度として推奨されています。
働き始めた場合、収入の一部は生活保護費から差し引かれます。
ですが、基礎控除や勤労控除という仕組みにより、働いた分だけ手取りが増える設計になっています。
例えば、月8万円の収入がある場合、全額が差し引かれるのではなく、控除額を差し引いた金額のみが保護費から減額されます。
障害者加算については、手帳を保持している限り継続されますが、症状の改善により手帳の等級が下がった場合は加算額も変更されます。
完全に自立して保護を辞退する場合でも、再び困窮した際には再度申請できるため、焦らず段階的に自立を目指すことが大切です。
相談窓口一覧と専門家(社会福祉士・弁護士)の活用方法
生活保護の申請や障害者加算について、専門家のサポートを受けることができます。
一人で悩まず、適切な支援につながることが重要です。
- 福祉事務所
生活保護の申請・相談窓口(市区町村役場内) - 社会福祉協議会
生活困窮者向けの総合相談窓口 - 法テラス
経済的に困難な方への無料法律相談 - 精神保健福祉センター
精神障害に関する総合相談窓口 - 障害者相談支援事業所
障害者手帳や福祉サービスの相談窓口
弁護士や社会福祉士といった専門家は、申請の同行支援や不服申立ての代理、福祉事務所との交渉などをサポートしてくれます。
特に、過去に申請を断られた経験がある方や、複雑な事情を抱えている方は、専門家の力を借りることで解決への道が開けます。
相談は多くの場合無料ですので、まずは気軽に連絡してみてください。
まとめ
生活保護の障害者加算は、精神障害者保健福祉手帳2級をお持ちの方にとって、生活を支える重要な制度です。
月額17,000円から27,000円の加算により、障害に起因する特別な生活費をカバーできます。
申請には障害者手帳と必要書類を準備し、福祉事務所に相談することから始めてください。
貯金が底をつきそうで不安を感じている方、うつ病などの精神疾患で生活が困難な方は、一人で抱え込まずに支援制度を活用する権利があります。
この記事でご紹介した手続きの流れや条件を参考に、まずは福祉事務所や相談窓口に連絡してみてください。
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