注意欠陥多動性障害(ADHD)の不注意・多動性・衝動性の症状は、誰にでも多少なりあり得る症状です。
どのように診断するのでしょうか。
また、どのような治療を行うのでしょう。
注意欠陥多動性障害は、先天性の脳機能障害です。
短期記憶や注意力、推論、判断、感情の抑制などをつかさどる前頭前野の部分が関係していると考えられていますが、はっきりした原因は、まだわかっていません。
また、脳内の神経伝達物質や遺伝が関与しているのではないかとも考えられ、研究が進められています。
かつては、ADHDの認識がなかったので、親の愛情やしつけ、本人のやる気が原因と誤解されることも多かったようですが、育て方や本人のやる気が原因ではありません。
注意欠陥多動性障害の診断は、日常の行動を養育者から聞いたり、医師が行動を観察したり、心理発達検査、行動評価テストなどさまざまな事を考慮して診断します。
そのため、注意欠陥多動性障害の診断は時間をかけてじっくり行われます。
ADHDは児童精神科や小児神経科で診断を受けられます。
わからない場合には、発達障害者支援センターや地域の保険センター、学校、保育園などで相談して、紹介してもらうと良いでしょう。
最初に行うのは、問診と観察です。症状や日常生活での問題、生育・発達歴、既住歴、家族歴などを先生にわかりやすく説明しなければいけないので、あらかじめ具体的な問題行動などをメモしておくと良いでしょう。
また、学校での生活については、先生から話を聞くか、記録してもらって持参しましょう。
問診や観察を行い、ADHDの疑いがある場合には、知能検査、他の障害や身体疾患の有無を調べるための検査などを行います。
問診・観察・検査など全てのことを総合的に評価して、診断を行います。
注意欠陥多動性障害を完治する治療法は、まだ見つかっていません。しかし、生活を送りやすくするための治療を行うことで、人との関わりも、本人の負担も軽減されます。
治療方法は、薬物療法・心理療法・食事療法などがありますが、症状を軽減する環境づくりも大切です。
薬物療法により、症状を改善することで、学習や仕事の能力・考え方・行動・他の人との関わり方など多くの面で効果が出てきます。
主にADHD治療で使用されている中枢神経刺激薬(メチルフェニデートなど)は、ノルアドレナリンとドーパミンの取り込みを抑制することで、神経伝達物質の不足が改善され、ADHDの症状が改善するとされています。
中枢神経刺激薬の服用で、約80%の人に症状の改善がみられたという報告もあります。
心理療法には、行動療法・認知行動療法などがあります。
ADHDの人は、失敗も多く、自己評価の低い人も多くいます。自己評価を高め、心のケアをしていくことは、今後の不安を取り除く面でもとても大切です。
問題行動を改善するために、実践で身につけます。
本人の力を引き出しながら、問題行動を良い方向に導いていくのです。
良く出来たときには褒めてあげることで、本人の自信にもつながっていきます。
ADHDの特性を理解したうえで、問題行動の認知の仕方を変えていきます。
問題行動をどう捉えるかによって、感情や行動にも変化が現れます。
そして、感情をコントロールできるようになっていくのです。
ADHDの問題行動は砂糖や食品添加物の過剰摂取も関係していると考えられています。
食事療法では、砂糖や食品添加物の摂取をなるべく控えるようにして、バランスの良い食事を心がける治療法です。