広汎性発達障害は、症状の軽い人を含めると0.5%〜0.9%の割合でみられる発達障害の一つであり、自閉症・アスペールガー症候群・トゥーレット症候群・小児期崩壊性障害などが含まれます。
症状の程度はさまざまで、重症の場合には知的障害が見られる場合もあります。
広汎性発達障害の特徴として、社会性の発達・コミュニケーション能力に障害があり、強いこだわりがあるという特徴があります。
その他、感覚が過敏であるという特徴や、想像力の障害などもみられます。
また、広汎性発達障害には知的能力に障害がある場合もあり、知的能力に障害のない広汎性発達障害は高機能広汎性発達障害とも呼ばれます。
広汎性発達障害にみられる社会性の障害には、4つのタイプに分類されます。
他の人が見えていないかのような行動をするタイプで、呼ばれても返事をすることはなく、すれ違っても全く反応はありません。
人に対しての関心がなく、同情することもありません。
孤立型は、無表情・クレーン現象が目立ちます。
他の人に自分から関わっていくことはしませんが、他の人からの接触は嫌がることはありません。言われたことには何でも従います。
最も問題行動の少ないタイプです。
しかし、嫌なことも受け入れてしまうので、負担がかかり、パニックを起こしてしまうこともあります。
他の人に積極的に関わろうとしますが、自分本位な一方的である場合が多いです。
自分の好きな話を一方的に話し続けたり、同じことを何度も繰り返して話続けたりします。
高機能自閉症やアスペルガー症候群によくみられ、知的には高い場合が多いです。
成人期以降に現れるタイプであり、非常に礼儀正しく、親に対してまでも堅苦しく振舞います。
自分の知っている人付き合いのルールを、何としても守ろうとするこだわりがあります。
また、状況に応じて対応することが困難であるという一面もあります。
冗談や皮肉の意味がわからず、言葉をそのまま受け止めてしまう・相手の気持ちを考えられず、言ってはいけないことも言ってしまう・話し方が独特であり、ですます調や抑揚のない話し方をする・言語の発達が遅い(または失語)がみられるなどの特徴があります。
食事へのこだわりから偏食となったり、特定の興味のあるものに熱中したりします。
行動にもこだわりがあり、自分の好きな行動パターンや手順ではなくなると、嫌がったりパニックを起こしたりします。
苦手な音や臭いがあったり、暗いところを嫌がったりします。
触られる感覚や眩しい光を嫌ったり、衣服の(素材の)肌触りによって嫌がったりする場合もあります。
また、感覚が極端に鈍感な場合は、痛みを感じにくく怪我に気付かない場合や、味覚に鈍感で腐っているものでも食べてしまう場合があります。
親(または本人)との面談や観察(遊んでいるところなどをみる)、家族・学校の先生などからの情報から、社会性・コミュニケーション能力・こだわりなどの症状がないかみていきます。
脳波や血液検査などではなく、人との関わり方や興味の持ち方など、行動をみたり、面談で聞いたりして診断していきます。
広汎性発達障害の原因は明らかになっていませんが、遺伝や染色体異常などの生物学的な異常によって発生すると考えられています。
育て方や本人の怠慢などが原因ではありません。