発達障害には知的障害が合併している場合と、知的障害がない場合があります。
発達障害と知的障害はどのような違いがあるのでしょうか。
知的障害は、法律による定義はありませんが、知的能力に障害があり、何らかの支援が必要であることとされています。
また、その知的な障害のほとんどが発達期(18歳未満)で生じるとされています。
また、知能障害も知的障害と同じ意味で使われています。
知的障害は度合いによって、重度・中度・軽度に分けられます。
知能指数(IQ) =
精神年齢(発達年齢) ÷ 生活年齢(実年齢) × 100
上記の式により、精神年齢(発達年齢)と生活年齢(実年齢)の比率をパーセンテージで算出し、50〜70%は軽度知的障害、35〜50%は中度、20〜35%は重度、20%以下が最重度と分類されます。
また、知能指数が70〜85%の場合はボーダーラインであり、知的障害と認定されない場合が多いです。
軽度の知的障害では、障害があることが見ただけではわかりにくいこともあるようです。
知的障害の約8割が原因は明らかではないとされています。
軽度の知的障害のほとんどがこれに当たり、原因不明です。残りの2割は、染色体の異常などの先天性の知的障害や出産時の酸素不足やトラブル、乳幼児期の高熱などが原因となっています。
発達障害は脳機能の障害が原因となっています。
そのため、自閉症の場合は知的障害を伴う場合もあります。
つまり、知的障害は発達障害の一つであると言えるでしょう。
知的障害の診断は、知能テストなどで測定される「知的能力」と、社会生活を営むために必要な行動をとる力「適応能力」を元にします。
また、発達障害は、「コミュニケーション能力」や「適応能力」などで診断します。知的障害と発達障害の診断では、重なる部分もあるのです。
自閉症と知的障害には、似たような症状があり、自閉症にも知的障害がある場合もあります。
自閉症の症状があり、知的障害の症状も顕著な場合、知的障害者として認定される場合が多いです。
知的障害をともなう自閉症でも、軽度の知的障害など知的障害が目立たない場合には、知的障害者として認定されません。
知的障害と学習障害にも、似ている症状がありますが、知能指数(IQ)が70以上で学習障害の症状がある場合には学習障害と診断され、70以下の場合には知的障害と診断されます。
知的障害は学習面も含めた全面的な知能の発達に遅れがあり、学習障害は特定の学習に困難を生じます。
知的障害者として認定されると、療育手帳が交付されます。療育手帳には、知的障害の程度によってA・Bのどちらかが記載されます。
最重度・重度の場合はA、中度・軽度の場合はBと記載されます。
また、知的障害者認定を受けると、障害年金や特別障害者手当などの制度が受けられる場合もあります。